Japanese
English
特集 口腔と全身疾患研究の最前線
口腔と呼吸器疾患との関連
-――口腔細菌による下気道炎症進展の可能性
Relationship between oral cavity and respiratory diseases
――Oral bacteria possibility contribute to progression of lower respiratory inflammations
今井 健一
1
Kenichi IMAI
1
1日本大学歯学部細菌学講座/生体防御医学研究所生体防御部門
キーワード:
口腔細菌
,
歯周病
,
肺炎
,
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
,
インフルエンザ
,
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
Keyword:
口腔細菌
,
歯周病
,
肺炎
,
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
,
インフルエンザ
,
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
pp.1023-1030
発行日 2021年6月19日
Published Date 2021/6/19
DOI https://doi.org/10.32118/ayu277121023
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わが国の高齢化は世界でも類をみない速さで進んでいるが,とくに高齢者は加齢に伴う免疫力の低下などに加え,嚥下機能や気道上皮細胞の線毛運動が衰えるため呼吸器疾患の罹患率が高い.さらに重症化する割合や死亡率も高いことから,高齢者において呼吸器疾患の予防は重要である.近年,口腔細菌や歯周病と肺炎,慢性閉塞性肺疾患(COPD),およびインフルエンザなどの呼吸器疾患との関連性が明らかとなってきた.最近では,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との関連もわかりつつある.一方で,歯科医師や歯科衛生士が患者に施す口腔ケアが肺炎による死亡率を抑制したり,インフルエンザの罹患を予防したりすることから,医科歯科連携に代表される多職種連携が進んでいる.しかし,口腔細菌や歯周病が呼吸器疾患の発症と進展に及ぼすメカニズムはよくわかっていない.口腔細菌がどのように呼吸器疾患の発症と進展に関与するのか,その解明は,なぜ口腔ケアが呼吸器疾患の予防に有効なのかの疑問に対する理論的根拠の提示にもつながる.
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