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第5土曜特集 血管・リンパ管研究の最前線と治療への展開
血管疾患と血管を標的とした治療法
遺伝性胸部大動脈瘤・解離とゲノム医療
Hereditary thoracic aortic aneurysm and dissection and genomic medicine
八木 宏樹
1
,
赤澤 宏
1
Hiroki YAGI
1
,
Hiroshi AKAZAWA
1
1東京大学医学部附属病院循環器内科,マルファン症候群センター
キーワード:
遺伝性胸部大動脈瘤・解離(HTAAD)
,
次世代シークエンサー(NGS)
,
遺伝学的検査
,
個別化医療
Keyword:
遺伝性胸部大動脈瘤・解離(HTAAD)
,
次世代シークエンサー(NGS)
,
遺伝学的検査
,
個別化医療
pp.1117-1127
発行日 2024年6月29日
Published Date 2024/6/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289131117
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遺伝性胸部大動脈瘤・解離(HTAAD)はマルファン症候群(MFS),ロイス・ディーツ症候群(LDS),血管型エーラス・ダンロス症候群(vEDS)などの症候群性と,家族性胸部大動脈瘤・解離(FTAAD)などの非症候群性に大別される.症候群性HTAADの主な原因は,トランスフォーミング増殖因子(TGF)-β関連遺伝子と細胞外マトリックス関連遺伝子(FBN1,TGFBR1,TGFBR2,SMAD3,TGFB2,COL3A1など)である.一方,非症候群性HTAADの約20%は,血管平滑筋細胞の収縮装置の構成要素の変化に起因しており,原因遺伝子としてはACTA2,MYH11,MYLK,PRKG1などが報告されている.近年,遺伝学的検査から表現型や血管系合併症の重症度が予測できつつあり,将来的にはゲノム情報を用いたHTAAD患者の個別化医療が期待されている.循環器専門医は,適切な遺伝カウンセリングを行い,最良のサーベイランスを行うために,HTAADの遺伝学に関する十分な知識を持つ必要がある.本稿では,HTAAD領域における遺伝学の進歩を紹介し,遺伝学的検査を臨床の場で用いることの利点と課題について概説する.
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