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第5土曜特集 血管・リンパ管研究の最前線と治療への展開
血管疾患と血管を標的とした治療法
動脈硬化の病態と治療法の開発
-――心外膜脂肪組織の治療標的としての可能性
Pathophysiology and treatment of atherosclerosis
――Epicardial adipose tissue as a potential therapeutic target
田中 君枝
1
,
佐田 政隆
2
Kimie TANAKA
1
,
Masataka SATA
2
1順天堂大学医学部臨床検査医学講座
2徳島大学大学院医歯薬学研究部循環器内科学
キーワード:
心外膜脂肪組織(EAT)
,
血管周囲脂肪組織(PVAT)
,
動脈硬化病変
,
心血管疾患(CVD)
,
治療標的
Keyword:
心外膜脂肪組織(EAT)
,
血管周囲脂肪組織(PVAT)
,
動脈硬化病変
,
心血管疾患(CVD)
,
治療標的
pp.1128-1133
発行日 2024年6月29日
Published Date 2024/6/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289131128
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動脈硬化や糖尿病はそれぞれ独立した疾患ではなく,全身の慢性炎症による一連の疾患と考えられるようになった.脂肪組織は脂質貯蔵や熱産生,緩衝材としての役割だけでなく,生理活性物質を産生し慢性炎症に関与する内分泌器官と考えられている.血管を取り巻く血管周囲脂肪組織(PVAT)も同様に,炎症性・抗炎症性の生理活性物質を産生し,血管に直接または血流を介して作用する.心外膜の内側で冠動脈に直に接する心外膜脂肪組織(EAT),特に冠動脈のPVATも同様に冠動脈に直接影響を及ぼすと考えられる.これらの脂肪組織の存在や炎症状態は画像検査により評価可能であり,現在の心血管疾患(CVD)の存在と関連し,さらに,予後予測因子であることも示されている.また,CVD治療の新しい標的となることが期待される.
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