Japanese
English
綜説
解離性大動脈瘤
Disseting Aneurysm of the Aorta.
和田 達雄
1
,
上野 明
1
,
菱田 泰治
1
Tatsuo Wada
1
1東京大学医学部木本外科教室
1Department of Surgery, Tokyo University
pp.305-312
発行日 1961年5月15日
Published Date 1961/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200978
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I.はじめに
解離性大動脈瘤は古くから知られている疾患であつて,すでに1760年にMorgagni氏の記載があるといわれている1)が,従来専ら病理解剖学的興味をもつて取り上げられることが多く,臨床的に意義のある疾患として扱われるようになつたのは比較的最近のことのように思われる。
これは元来この疾患の頻度がそれ程高くないことにもよるが,最大の原因は経過が非常に急激で,診断も治療も出来ないうちに患者が死亡してしまうことによるものであろう。Levinson氏2)によれば58例の本疾患の症例中36%が発病後48時間以内に,37%が3〜60日の間に死亡し,わずかに25%が,いわゆる慢性解離性大動脈瘤という一種の自然治療の形態をとつて,3ヵ月〜8年生存したにすぎない。
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