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第5土曜特集 血管・リンパ管研究の最前線と治療への展開
血管疾患と血管を標的とした治療法
心血管系の恒常性を維持する大動脈弁の役割と弁石灰化メカニズム
The role of the aortic valve as a regulator of cardiovascular metabolism and the mechanism of valve calcification
坂上 倫久
1
Tomohisa SAKAUE
1
1愛媛大学大学院医学系研究科心臓血管・呼吸器外科学,同プロテオサイエンスセンター細胞増殖・腫瘍制御部門
キーワード:
内皮細胞傷害
,
大動脈弁
,
石灰化
,
線維化
Keyword:
内皮細胞傷害
,
大動脈弁
,
石灰化
,
線維化
pp.1112-1116
発行日 2024年6月29日
Published Date 2024/6/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289131112
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大動脈弁狭窄症(AS)は,大動脈弁尖の肥厚や石灰化により弁の柔軟性が失われることで発症する.AS発症の原因はリウマチ性や二尖弁などの先天性の異常のほかに,加齢,高血圧,高コレステロール血症,喫煙,糖尿病などが知られているが,いずれも大動脈弁に局在する弁内皮細胞の傷害が引き金といわれている.石灰化などによって大動脈弁が硬化すると,弁の開閉が制限され,心臓の圧負担の増大により心不全へ進行することがある.ASに対する治療では,大動脈弁置換術や経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)などによる人工弁の置換・留置が施行されるが,ウシやブタ心膜由来生体弁では経時的に石灰化などによる組織構造破壊が起こることで再手術が必要となることも知られている.本稿では,大動脈弁の組織構造と生理学的役割について触れるとともに,最近の研究で明らかになりつつある,弁間質細胞から骨芽細胞へと分化するシグナル経路が関わる大動脈弁石灰化の分子メカニズムを紹介する.
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