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特集 骨格筋の再生・維持・適応メカニズムの新知見――最先端研究がもたらしたパラダイムシフト
筋疾患に対する細胞治療
Cell therapy against muscular diseases
櫻井 英俊
1
Hidetoshi SAKURAI
1
1京都大学iPS細胞研究所臨床応用研究部門
キーワード:
iPS細胞(人工多能性幹細胞)
,
骨格筋幹細胞
,
間葉系間質細胞
Keyword:
iPS細胞(人工多能性幹細胞)
,
骨格筋幹細胞
,
間葉系間質細胞
pp.751-755
発行日 2024年6月8日
Published Date 2024/6/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289100751
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筋ジストロフィーなど難治性の筋疾患に対して,細胞治療は根治的な治療法になりうると考えられ,生体由来細胞を用いたいくつかの臨床研究が実施されてきたが,有効性を実証できたものはない.生体由来細胞の量的な限界を乗り越える手法として,iPS細胞(人工多能性幹細胞)由来の各種幹細胞を用いた細胞治療が期待され,多くの基礎研究がなされている.デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)モデルに対しては,iPS細胞から高い筋再生能を持つ骨格筋幹細胞への分化誘導法が確立され,表面マーカーを用いた純化法など臨床応用へ向けた研究が進展している.ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー(UCMD)モデルへの治療研究では,iPS細胞由来間葉系間質細胞の移植により6型コラーゲンが補充され,組織学的および機能的な有効性が見出されている.免疫原性を抑えた臨床用iPS細胞ストックの開発も進んでおり,今後は中・大動物での有効性および安全性の検証がカギとなる.
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