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第1土曜特集 パーキンソン病を解剖する――過去,現在,そして未来へ
基礎研究の進展
基礎研究のためのパーキンソン病モデル
Models for Parkinson’s disease research
今居 譲
1
Yuzuru IMAI
1
1順天堂大学大学院医学研究科パーキンソン病病態解明研究講座
キーワード:
マウス
,
ショウジョウバエ
,
線虫
,
酵母
,
iPS細胞(人工多能性幹細胞)
Keyword:
マウス
,
ショウジョウバエ
,
線虫
,
酵母
,
iPS細胞(人工多能性幹細胞)
pp.881-885
発行日 2021年9月4日
Published Date 2021/9/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27810881
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パーキンソン病(PD)の病理学的研究から発見されたレビー小体は,本疾患の病態機序を考えるうえでの大きなヒントである.最初のPD原因遺伝子産物α-シヌクレインがレビー小体の構成成分であることが判明して以降,PDの病態機序についての分子生物学的な研究がはじまったといえる.続いて発見された若年性PD原因遺伝子Parkinの報告から20年を超え,多彩な原因遺伝子・リスク遺伝子が見つかり,モデル生物を用いた基礎研究はPDの概念を覆す大発見に貢献してきた.たとえば,最初にα-シヌクレインの伝搬を実験的に証明したのは,培養細胞とマウスモデルである.PINK1がParkinによるミトコンドリア品質管理の上位因子であることを遺伝学的に明らかにしたのは,ショウジョウバエ分子遺伝学による貢献が大きい.また,1980年代に合成麻薬の副産物として偶然見つかった神経毒MPTP(1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine)は,PDモデル動物作製と神経病態機序の理解に貢献している.本稿では,これからPD原因遺伝子の基礎研究をはじめる研究者に向けて,遺伝性PDモデル生物とその特徴を紹介する.
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