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第5土曜特集 腫瘍免疫――免疫ネットワークから考える基礎と臨床
免疫チェックポイント阻害薬の成功から続く展望
【新規治療法】
iPS細胞から再生したT細胞を用いたがん免疫療法
-――即納型汎用性T細胞製剤の開発
Cancer immunotherapy using T cells regenerated from iPS cells
――Development of universal “off-the-shelf” T cell medicine
河本 宏
1,2
,
増田 喬子
1
,
永野 誠治
1,3
Hiroshi KAWAMOTO
1,2
,
Kyoko MASUDA
1
,
Seiji NAGANO
1,3
1京都大学医生物学研究所再生免疫学分野
2藤田医科大学国際再生医療センター免疫再生医学研究部門
3京都大学大学院医学研究科血液・腫瘍内科学
キーワード:
細胞傷害性T細胞(CTL)
,
iPS細胞(人工多能性幹細胞)
,
T細胞レセプター(TCR)
,
他家移植
,
WT1抗原
Keyword:
細胞傷害性T細胞(CTL)
,
iPS細胞(人工多能性幹細胞)
,
T細胞レセプター(TCR)
,
他家移植
,
WT1抗原
pp.523-531
発行日 2022年4月30日
Published Date 2022/4/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28105523
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がん免疫療法の領域では,患者由来のT細胞を体外で遺伝子改変して患者に投与する方法の有効性が示されている.しかし,この方法ではコストや時間がかかる,品質が不安定などの問題も残されている.これらの障壁を乗り越えるために,iPS細胞(人工多能性幹細胞)技術を用いてT細胞を再生する戦略が複数のグループによって進められている.筆者らは,特定のT細胞レセプター(TCR)遺伝子をiPS細胞に導入し,そのiPS細胞からT細胞を作製する方法(TCR-iPS細胞法)の開発を進めてきた.iPS細胞としては,汎用性が高いHLA型を有する株を用いる.固形がんへの応用を目指した研究では,WT1抗原陽性腎がんの患者腫瘍組織異種移植モデル(PDX)で,再生T細胞による治療効果を確認した.本稿では,他のグループによるさまざまな種類のT細胞をiPS細胞から再生する戦略も紹介する.
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