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特集 肝硬変は治るか? 組織改築改善・研究の最前線
【基礎】
iPS細胞を用いた創薬研究
-――肝線維化治療薬の開発
Development of drugs for liver fibrosis using iPSCs
木戸 丈友
1
,
宮島 篤
1
Taketomo KIDO
1
,
Atsushi MIYAJIMA
1
1東京大学定量生命科学研究所
キーワード:
iPS細胞(人工多能性幹細胞)
,
肝線維化
,
静止期星細胞
Keyword:
iPS細胞(人工多能性幹細胞)
,
肝線維化
,
静止期星細胞
pp.774-776
発行日 2021年11月20日
Published Date 2021/11/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27908774
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ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)は高い増殖能と多分化能を併せ持つ細胞であり,生体からの調製が困難な細胞をin vitroで作製できれば,創薬研究におおいに役立つ.本稿では,創薬研究用の各種肝構成細胞のヒトiPS細胞からの分化誘導系の開発と,それを使った創薬研究の例として,iPS細胞由来星細胞を標的とした創薬研究を紹介する.星細胞は種々の肝障害に応答し,静止状態から活性化状態に移行し,コラーゲンなどの細胞外基質を産生して線維化を誘導する.したがって,静止期星細胞の活性化を抑制する化合物や活性化星細胞の細胞死,脱活性化を促進する化合物は有効な肝線維化治療薬/改善薬となることが考えられる.こうした薬剤の開発には星細胞が必要であるが,生体から星細胞を十分に得られないことと星細胞の活性化過程を定量的に評価する方法がないことが課題であった.この課題をヒトiPS細胞からの星細胞分化誘導系と活性化のレポーター導入により解決したので,この開発について概説する.
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