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TOPICS 再生医学
筋ジストロフィーモデルマウスにおけるヒトiPS細胞由来骨格筋幹細胞の移植治療研究
A study of cell therapy for muscular dystrophy by human iPS cell-derived muscle stem cell in mouse model
櫻井 英俊
1
Hidetoshi SAKURAI
1
1京都大学iPS細胞研究所臨床応用研究部門
pp.296-297
発行日 2021年7月24日
Published Date 2021/7/24
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27804296
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筋ジストロフィーに対する細胞移植治療の位置づけ
小児発症で最も頻度が高いデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)は,原因分子のジストロフィンの欠損により骨格筋に慢性的な障害が起こり,骨格筋の壊死と再生を繰り返しながら筋萎縮や線維化が進行し,進行性の筋力低下をきたす重篤な疾患である1).その治療として,エクソンスキッピング治療やマイクロジスロトフィン遺伝子治療による短縮型ジストロフィン回復の臨床研究が進行し,一部は承認されている.一方で,骨格筋幹細胞による細胞移植治療は,完全長ジストロフィンが補充可能で治療効果が長期間にわたることが期待されることから,DMDモデルマウスを用いた開発研究が進んでいる.生体にはサテライト細胞とよばれる骨格筋幹細胞が存在し,高い再生能力を持つ.野生型マウス骨格筋から分離したサテライト細胞をDMDモデルマウスに移植するとジストロフィンが再生し治療効果を持つことが示されている2).しかしヒト骨格筋から大量のサテライト細胞を分離することは不可能であるため,iPS細胞3)から骨格筋幹細胞を作製する開発競争が進んだ.筆者らは,筋再生能力の高い骨格筋幹細胞をヒトiPS細胞から分化誘導することに成功した4).本稿ではその概略を紹介する.
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