Japanese
English
特集 便秘を科学する
慢性便秘症患者の便意と直腸知覚鈍麻
Desire to defecate and rectal hyposensitivity in patients with chronic constipation
眞部 紀明
1
,
春間 賢
2
Noriaki MANABE
1
,
Ken HARUMA
2
1川崎医科大学検査診断学(内視鏡・超音波)
2同総合内科学2
キーワード:
慢性便秘症
,
直腸感覚閾値
,
便意
,
直腸知覚鈍麻
Keyword:
慢性便秘症
,
直腸感覚閾値
,
便意
,
直腸知覚鈍麻
pp.555-557
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289080555
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高齢になるほど慢性便秘症の罹患率は増加する.慢性便秘症の病態には,結腸運動低下と結腸感覚変化が大きく関与する.以前より慢性便秘症治療薬には大腸運動を促進する作用機序の各種薬剤が用いられている.これまでに,結腸感覚変化については高齢者の直腸感覚閾値が上昇していること,慢性便秘症患者群では患者の訴えによる便意消失率が高いことや,バロスタットを用いた直腸伸展時の便意を催す程度が有意に低下していることなどが示されており,近年,その病態に注目が集まっている.さらに,直腸感覚閾値の変化が口側結腸運動に影響を与えることも明らかにされている.以上のように,糞便を快適に排泄するためには,結腸運動によって直腸まで輸送されてきた便塊を適切に察知して(=便意を感じて)速やかに排便動作が行われることが不可欠である.現在,同病態に対する薬物治療薬がないのが現状であり,今後,直腸感覚閾値(=便意)の改善を狙った新たな慢性便秘治療戦略が期待される.
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