特集 高齢者における消化器診療
高齢者における代表的消化器疾患とその治療
便秘症
中島 淳
1
,
吉原 務
1
,
三澤 昇
1
,
芦刈 圭一
1
,
大久保 秀則
1
1横浜市立大学肝胆膵消化器病学教室
キーワード:
直腸知覚鈍麻
,
糞便塞栓
,
magnesium oxide
,
刺激性下剤
Keyword:
直腸知覚鈍麻
,
糞便塞栓
,
magnesium oxide
,
刺激性下剤
pp.835-838
発行日 2021年10月1日
Published Date 2021/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_835
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Summary
▪慢性便秘症は高齢者に多い疾患である.
▪便秘症があると生命予後が有意にわるいこと,心血管イベントが多いことが明らかになってきた.
▪高齢者では結腸運動能の低下,直腸感覚閾値の鈍麻など高齢者特有の病態異常が明らかになるため,単なる便秘ではなく直腸に便塊が貯留する糞便塞栓の発症に注意しなければならない.
▪便秘は食欲低下を惹起させサルコペニア・フレイルの悪循環を形成する可能性がある.
▪治療はmagnesium oxideをまず使うが,高齢者ではとくに高マグネシウム血症に注意する必要があり,刺激性下剤はレスキュー薬としての使い方が望ましい使い方である.
▪治療のゴールは排便の有無ではなく便形状の正常化,バナナ状便にすることである.
▪近年,安全かつエビデンスレベルの高い新規慢性便秘症治療薬の登場で高齢者便秘症治療が大きく変わりつつある.
© Nankodo Co., Ltd., 2021