特集 10年前の常識は非常識!?—イマドキ消化器診療にアップデート
症候
便秘症
緒方 智樹
1
,
結束 貴臣
1,2
,
中島 淳
1
1横浜市立大学大学院医学研究科肝胆膵消化器病学教室
2国際医療福祉大学成田病院緩和医療科
キーワード:
慢性便秘症
,
グリセリン浣腸
,
新規便秘治療薬
Keyword:
慢性便秘症
,
グリセリン浣腸
,
新規便秘治療薬
pp.28-33
発行日 2023年1月10日
Published Date 2023/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402228684
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疾患概要
わが国の2016年度の国民生活基礎調査によると,便秘の有訴者数は2〜5%程度と言われている.男性(2.5%)よりも女性(4.6%)に多い傾向を示しており,加齢により有病率が増加している.ただし,慢性便秘症に限定した疫学調査は行われていないのが現状である.また,一般に「便秘」という言葉は観念的に使用されることが多く,その正確な定義を考えることは少ない.日本国内や海外では便秘を客観的に捉えるために定義付けが行われている.日本での便秘の診療の基本となっている『慢性便秘症診療ガイドライン2017』1)では,“本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態”と定義されている.
一方,海外では,2016年に発表されたRome Ⅳ基準2)の中で機能性便秘は,“排便困難,排便回数が少ない,または排便が不完全であるといった有症状の機能性腸疾患”と定義されている.
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