連載 薬の知識
慢性便秘治療薬エロビキシバット(グーフィス®)
中島 淳
1
1横浜市立大学大学院医学研究科肝胆膵消化器病学教室
キーワード:
慢性便秘症
,
エロビキシバット
,
胆汁酸トランスポーター阻害薬
Keyword:
慢性便秘症
,
エロビキシバット
,
胆汁酸トランスポーター阻害薬
pp.681-686
発行日 2019年5月20日
Published Date 2019/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000766
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超高齢社会を本格的に迎え,わが国では慢性便秘患者の増加が著しい.これまでわが国では医師も患者も便秘症を病気と捉えることなく軽視してきた.治療に関しては刺激性下剤と酸化マグネシウムしかなく,治療するにしても薬の処方をして終わりといったお粗末な状況であった.海外では便秘は寿命を確実に短くする疾患であるというエビデンスが出され,QOL の低下とともに患者満足度の高い治療が訴求され,安全で有効性の高い便秘治療薬が開発されてきた.このような海外の背景もあり,2012 年にわが国では32 年ぶりにルビプロストンが便秘薬の新薬として上市され,2017 年にはリナクロチド(リンゼス®),ナルデメジントシル酸塩(スインプロイク®)の二つの新薬が登場して市場が活性化してきた.2018 年にはエロビキシバット(グーフィス®)の上市に続き,欧米で第一選択薬の位置づけにあるポリエチレングリコール(PEG)やラクツロースの上市も行われ,一気に治療薬の選択肢が増えてきた.現状では医療者の当該疾患に対する診療能力の向上に加え,各種新薬の特徴を熟知した使い分けが喫緊の課題となってきている.
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