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連載 臨床医のための微生物学講座・Vol.12
ヒトのフサリウム症
Fusariosis
村長 保憲
1,2
,
亀井 克彦
3,4
Yasunori MURAOSA
1,2
,
Katsuhiko KAMEI
3,4
1国立感染症研究所真菌部
2同安全実験管理部
3千葉大学真菌医学研究センター感染症制御分野
4石巻赤十字病院感染症内科
キーワード:
フサリウム症
,
Fusarium solani species complex(FSSC)
,
希少深在性真菌症
,
角膜真菌症
Keyword:
フサリウム症
,
Fusarium solani species complex(FSSC)
,
希少深在性真菌症
,
角膜真菌症
pp.525-528
発行日 2024年5月18日
Published Date 2024/5/18
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289070525
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◎フサリウム属菌は子囊菌門に分類される糸状真菌であり,土壌・植物・腐敗物など環境中に広く生息している.植物の病原菌として知られており,フサリウム属菌に汚染された農作物を摂取した場合,カビ毒(マイコトキシン)による食中毒の原因にもなる.いくつかの菌種はヒトに感染することもあり,ヒトのフサリウム症を引き起こす.フサリウム症の病型は主に深在性フサリウム症と表在性フサリウム症に大別される.深在性フサリウム症は,免疫不全患者の体内深部に感染するタイプのフサリウム症であり,菌が血流に乗って全身播種する全身性フサリウム症と局所侵襲性フサリウム症の2つの病型に細分される.深在性フサリウム症の発症頻度はまれであるが臨床的に重要な希少深在性真菌症と位置づけられている.表在性フサリウム症は角膜や爪など体表に局所感染するタイプのフサリウム症である.フサリウム属菌の多くは抗真菌薬に耐性を持つため治療が難しい真菌症のひとつである.
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