Japanese
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TOPICS 小児科学
保育器内の早産児のアルコール曝露を軽減するための対策
Methods to reduce alcohol exposure among premature infants in neonatal incubator
藤山 聡
1
,
日高 大介
1
,
高田 英俊
1,2
Satoshi FUJIYAMA
1
,
Daisuke HITAKA
1
,
Hidetoshi TAKADA
1,2
1筑波大学附属病院小児科
2筑波大学医学医療系小児科
pp.522-524
発行日 2024年5月18日
Published Date 2024/5/18
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289070522
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保育器内の早産児のアルコール曝露
在胎37週未満で出生した早産児の出生数は,年間1,500万人,出生10人に1人と世界的に増加傾向にある1).新生児医療のニーズの高まりは,新生児集中治療室(neonatal intensive care unit:NICU)の普及など,早産児の診療体制の向上につながった2).全身の臓器が未発達な早産児の診療には,温湿度が精密に制御された閉鎖型保育器(保育器)とアルコール消毒剤を用いた感染対策が必須である.一方,アルコールは易溶性の揮発性有機化合物(volatile organic compounds:VOC)のため,消毒剤から揮発したアルコールが保育器内に滞留し,早産児に吸収される可能性が懸念されてきた3).しかし,狭い保育器内で激しく変動する大気中アルコール濃度の測定手段を欠き,保育器内のアルコール曝露の実態は明らかにされてこなかった.筆者らは,VOCガスセンサを開発する新コスモス電機株式会社とともに,同社の工業用のアルコールガスセンサ(COD-203)を用いた保育器内の大気中アルコール濃度の連続測定に成功し,さらに保育器内の早産児が長期間にわたりアルコールを吸収していることを世界ではじめて明らかにした(図1-A)4).
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