特集 かびと健康障害
かびによるヒトの感染症
久米 光
1
,
奥平 雅彦
1
Hikaru KUME
1
,
Masahiko OKUDAIRA
1
1北里大学病理学
pp.462-469
発行日 1980年7月15日
Published Date 1980/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206112
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■はじめに
いわゆる"かび"と呼ばれている微生物は,有史前の太古から人間生活と密接かつ多岐にわたる深いかかわりあいを持っている.このかかわりあいの中で現在までに10万種以上ときわめて多くのかび類が知られている.しかしながら,ヒトに感染を起こす,いわゆる病原真菌はこのうち100種前後と目されており1),とくに,わが国における主要な真菌症の起因菌は,たかだか18属50種程度であろうと推測される.
ヒトの真菌感染症(以下,真菌症と略記する)の大部分は,白癬やカンジダ症に代表される表在性の皮膚真菌症であるが,抗生剤や抗癌剤あるいはステロイドホルモン剤などが広く使用され始めた1960年代ごろから,内臓真菌症の逐年的な増加が目立ち,近代医療の進歩とも相まって最近ではとくにその傾向が著しい.
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