Japanese
English
症例報告
Aspergillus tubingensisによる皮膚アスペルギルス症の1例
A case of cutaneous aspergillosis caused by Aspergillus tubingensis
澤田 利恵
1,2
,
城野 剛充
1
,
栗山 春香
1,2
,
牧野 公治
1
,
亀井 克彦
3
Rie SAWADA
1,2
,
Takamitsu JONO
1
,
Haruka KURIYAMA
1,2
,
Koji MAKINO
1
,
Katsuhiko KAMEI
3
1国立病院機構熊本医療センター皮膚科
2熊本大学大学院生命科学研究部皮膚病態治療再建学分野
3千葉大学真菌医学研究センター臨床感染症医学分野
1Division of Dermatology, National Hospital Organization Kumamoto Medical Center, Kumamoto, Japan
2Department of Dermatology and Plastic Surgery, Faculty of Life Sciences, Kumamoto University, Kumamoto, Japan
3Divisiion of Clinical Resarch, Medical Mycology Research Center, Chiba University, Chiba, Japan
キーワード:
Aspergillus niger
,
関連種
,
イトラコナゾール
,
農作業
,
原発性アスペルギルス症
Keyword:
Aspergillus niger
,
関連種
,
イトラコナゾール
,
農作業
,
原発性アスペルギルス症
pp.622-626
発行日 2021年7月1日
Published Date 2021/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206434
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要約 82歳,男性.2015年12月に右第3指に棘が刺さり,近医で切開,異物除去と後に縫合術を受けた.2016年2月頃右前腕にびらんが出現し,同部位に結節が多発してきたため当科を受診した.初診時,右前腕に3か所の皮膚結節があった.結節を生検したところ,真皮内に好中球,形質細胞,多核巨細胞を含む膿瘍がみられた.組織培養の結果,菌の形態はAspergillus nigerに合致したが,遺伝子解析の結果,A. nigerの関連種であるA. tubingensisと判明した.画像検査上,他臓器にアスペルギルス症を示唆する所見はなく,A. tubingensisによる皮膚アスペルギルス症と診断した.イトラコナゾール200mg/日の3か月間内服で治癒した.真菌の遺伝子検査が発達し,「関連種(隠蔽種)」と呼ばれる,形態学的に同一視されてきた別菌種の存在が明らかになった.関連種によっては薬剤感受性が異なり,早期鑑別が適切な抗真菌薬治療に役立つ可能性がある.真菌の分子生物学的検査に関心を持って症例を蓄積・検討していくことは臨床的に有益だと考える.
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