特集 私の経験集 珍しい真菌の角結膜感染への対応
2 Cunninghamella bertholletiae疑い症例
渡辺 真子
1
1順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科・京都府立医科大学眼科学教室・バプテスト眼科クリニック(京都府)
キーワード:
角膜感染症
,
角膜真菌症
,
角膜移植
,
移植後感染症
,
抗真菌薬
Keyword:
角膜感染症
,
角膜真菌症
,
角膜移植
,
移植後感染症
,
抗真菌薬
pp.1395-1399
発行日 2023年12月5日
Published Date 2023/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003433
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角膜真菌症はまれな疾患であるが,しばしば難治性であり,角膜融解を伴い穿孔をきたすなど,治癒後も角膜混濁などの視機能障害をきたす場合が多く,専門的な加療を要する疾患のひとつである。発症背景としては,外傷やコンタクトレンズ装用,角膜異物などの外的刺激や,ステロイド使用や高齢などの免疫機能低下,角膜移植後などがリスクとして挙げられる1)。近年,高齢化に伴い,高齢かつ角膜移植後患者など,複数のリスクを併せ持つ症例が増加しており,ますます疾患としての重要性が高まっていると考えられる2)。通常の原因真菌としては,糸状菌や酵母菌などの環境菌が広く知られており,特に角膜移植後の患者では局所ステロイド使用による免疫機能低下やドナーからの持ち込み感染,縫合糸感染などが問題となっており,起炎菌としてはCandida albicansを中心とするカンジダ属の酵母菌の症例が多く報告されている3)。
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