特集 私の経験集 珍しい真菌の角結膜感染への対応
1 Colletotrichum gloeosporioides
住岡 孝吉
1
1和歌山県立医科大学眼科学教室
キーワード:
Colletotrichum属
,
Colletotrichum gloeosporioides
,
角膜真菌症
,
角膜潰瘍
,
角膜移植
,
柑橘系
Keyword:
Colletotrichum属
,
Colletotrichum gloeosporioides
,
角膜真菌症
,
角膜潰瘍
,
角膜移植
,
柑橘系
pp.1389-1394
発行日 2023年12月5日
Published Date 2023/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003432
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角膜真菌症は何らかの原因で角膜上皮のバリア機能が低下し,真菌に曝露された状態で発症する。一般的に細菌性角膜炎と比較し頻度は低く,進行は緩徐であることが多いが,初期段階では典型的な臨床所見が現れないことも多い。適切に治療されないと角膜浸潤,角膜膿瘍,角膜潰瘍,角膜穿孔へと進行する可能性があるため,早期診断と適切な治療が不可欠である。角膜浸潤がみられた場合,積極的に病巣掻爬,検鏡,培養を行い,起炎菌を同定し適切な抗真菌薬を投与し病巣を治癒させることが重要である。糸状真菌は通常,深部潰瘍を生じやすく,高度の前房内炎症やendothelial plaqueを生じるとされているが,Colletotrichum属やAlternaria属は表層性の角膜炎を呈する臨床的特徴がある。そのため,これらの真菌による感染は,しばしば細菌性角膜炎やヘルペス性角膜炎などと誤診される可能性があるため,診断に慎重な注意が必要である。本項では比較的珍しい真菌であるColletotrichum gloeosporioides(C. gloeosporioides)による角膜感染症について述べる。
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