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特集 遺伝性尿細管疾患の最新知識
尿細管性蛋白尿
-――デント病,CUBN異常に伴う慢性良性蛋白尿
Tubular proteinuria
――Dent disease and chronic benign proteinuria due to CUBN variants
榊原 菜々
1
Nana SAKAKIBARA
1
1神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野
キーワード:
尿細管性蛋白尿
,
デント病
,
CUBN
,
慢性良性蛋白尿(PROCHOB)
Keyword:
尿細管性蛋白尿
,
デント病
,
CUBN
,
慢性良性蛋白尿(PROCHOB)
pp.432-436
発行日 2024年5月11日
Published Date 2024/5/11
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289060432
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糸球体係蹄壁を通過したタンパクのほとんどは近位尿細管で再吸収(endocytosis)されるため,健常人では尿中に排泄されるタンパクは極めて微量であるが,この再吸収機構に関連する遺伝子の異常では,尿細管性蛋白尿を生じる.デント病はX染色体連鎖型疾患であり,CLCN5とOCRLの2つが原因遺伝子として知られる.近位尿細管の再吸収障害により,低分子蛋白尿,高カルシウム尿症,腎石灰化,腎結石などの症状を呈する.緩徐に腎機能障害が進行し,末期腎不全に至る例もある.慢性良性蛋白尿(PROCHOB)は最近疾患概念が明らかにされた常染色体潜性疾患であり,近位尿細管や小腸でアルブミンや低分子タンパクの再吸収を担うcubilinをコードするCUBNの異常により生じる.幼少期から中等度以上の蛋白尿を呈し,レニン-アンジオテンシンアルドステロン(RAS)阻害薬は無効であるが,腎機能障害を認めない点が特徴である.
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