Japanese
English
綜説
尿細管由来の尿蛋白
Urinary Proteins Originating from Renal Tubular Cells
折田 義正
1
,
堀尾 勝
1
Yoshimasa Orita
1
,
Masaru Horio
1
1大阪大学医学部第一内科学教室
1Department of Internal Medicine I, Osaka University Medical School
pp.547-557
発行日 1985年7月20日
Published Date 1985/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204076
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
尿細管由来の蛋白として,健常人にみられるものは,尿細管分泌糖蛋白であるTamm-Horsfall蛋白と尿細管上皮細胞が尿中に崩壊することによりみられる,いくつかの酵素である。Tamm-Horsfall蛋白は尿細管のセグメントのうち,太いヘンレ上行脚と遠位曲尿細管に限局して存在すること,電解質濃度に依存して,可逆的な凝集反応をおこし,ゲル化する特異的な生化学的性質をもつこと,最近太いヘンレ上行脚のNaCl輸送を阻害するループ利尿薬であるフロセマイドに対しレセプターをもつことなどから,このセグメントにおける電解質再吸収において重要な生理的役割をもつものとして注目されている。また間質性腎炎の中にはTamm-Horsfall蛋白の沈着が間質に存在する例があることや,Tamm-Horsfall蛋白に対する自己抗体の存在例も報告されており,病態面でも注目されている。
酵素に関しては,尿細管細胞は下部尿路に比較して酵素に富み,正常時でも尿中には尿細管由来の酵素が多く認められる。
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.