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特集 ニューロエコノミクス(神経経済学)とは何か?――ヒトの価値観が生まれる脳の仕組みの理解とその先の未来
計算論的アプローチによる強迫症のメカニズム解明
Elucidating the mechanism of obsessive-compulsive disorder using a computational approach
酒井 雄希
1
,
酒井 裕
2
,
田中 沙織
1,3
Yuki SAKAI
1
,
Yutaka SAKAI
2
,
Saori C TANAKA
1,3
1ATR脳情報通信総合研究所
2玉川大学脳科学研究所
3奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科情報科学領域
キーワード:
強迫症
,
計算論モデル
,
計算論的精神医学
,
強化学習
,
セロトニン
Keyword:
強迫症
,
計算論モデル
,
計算論的精神医学
,
強化学習
,
セロトニン
pp.121-124
発行日 2024年4月13日
Published Date 2024/4/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28902121
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行動や脳の神経活動の背景にある仕組みを数理モデルによって明らかにしようとする研究方法は,神経科学に対しての “計算論的アプローチ” とよばれる.近年,精神疾患を対象として,この計算論的アプローチを用いることで,疾患の仕組みを理解しようとする “計算論的精神医学” が注目を集めている.筆者らは,強い不安とそれを一時的に軽減するための繰り返し行動で特徴づけられる強迫症(強迫性障害)について,症状の仕組みを明らかにする計算論モデルを作成した.また,そのモデルから予測された変化が,実際に強迫症患者にみられることを示した.さらに,強迫症の治療において最も有効とされる行動療法や薬物療法のメカニズムを計算論モデル,実験データを使って解明した.これらの成果は,患者の特性に応じて,どういった治療が最適かを選択する有力な手がかりとして応用できる可能性がある.
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