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特集 ニューロエコノミクス(神経経済学)とは何か?――ヒトの価値観が生まれる脳の仕組みの理解とその先の未来
精神医学と神経経済学
-――計算論的精神医学
Psychiatry and neuroeconomics
――Computational psychiatry
髙橋 英彦
1
Hidehiko TAKAHASHI
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科精神行動医科学,同脳統合機能研究センター
キーワード:
精神医学
,
神経経済学
,
意思決定
Keyword:
精神医学
,
神経経済学
,
意思決定
pp.125-128
発行日 2024年4月13日
Published Date 2024/4/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28902125
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精神疾患は定義上,何らかの行動の異常があり,行動異常の手前のプロセスには行動選択の異常,つまり,意思決定が多かれ少なかれ想定され,意思決定のパターンは脳科学を含めた生物学的研究と対応させる認知中間表現型として有用であることが期待される.意思決定という主観的なプロセスを客観的に評価するのが困難であったが,行動経済学,神経経済学のツールを用いて,精神疾患の意思決定の障害を客観的に評価することが行われている.計算論的精神医学の本来の狭義の使い方は,脳を情報処理するコンピュータになぞらえ,脳が情報処理する際のアルゴリズムの異常として精神症状を理解しようという立場であるが,脳ではなく,最終表現型である行動異常を数理的に評価しようという立場も,広義の計算論的精神医学に含まれる.本稿では,行動経済学や神経経済学の考え方を応用して精神症状を評価する計算論的精神医学の自験例を紹介する.
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