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第5土曜特集 遺伝統計学の新潮流――新規創薬・個別化医療への挑戦
遺伝統計学の理論と実践
Polygenic risk scoreとゲノム個別化医療
Polygenic risk score and personalized genomic medicine
竹内 史比古
1
Fumihiko TAKEUCHI
1
1国立国際医療研究センター,Baker Heart and Diabetes Institute
キーワード:
個別化医療
,
ゲノム
,
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
,
一塩基多型(SNP)
Keyword:
個別化医療
,
ゲノム
,
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
,
一塩基多型(SNP)
pp.1031-1035
発行日 2024年3月30日
Published Date 2024/3/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu288131031
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Polygenic risk score(PRS)は,個人の特定の疾患への遺伝的リスクを評価するための数値である.PRSは複数の遺伝子変異の総合的な影響を評価し,疾患リスクをより正確に予測することを目指す.PRSの計算では,大規模な遺伝子関連解析データを用い,疾患と関連がある遺伝子変異を特定し,これらに重みを割り当てて統合する.PRSの利点は,多くの遺伝的要因を加味することで,単一の遺伝子マーカーよりも病気のリスクを正確に予測できる点にあるが,解釈には注意が必要である.PRSの臨床応用においては,解釈の難しさ,教育とトレーニングの不足,システムレベルでの課題,患者の理解と受容の問題,コストと資源の問題などの課題が存在する.PRSは個別化医療の分野において重要な役割を果たすと考えられており,将来的には疾患リスクの予測,個別化された治療戦略の開発,患者の健康管理に新たなアプローチを提供する可能性がある.
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