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特集 古代ゲノム学と医学の交差点
古代人ゲノムと皮膚色関連多型
Ancient Genome and genetic variants associated with human skin pigmentation
中 伊津美
1
Izumi NAKA
1
1東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻ヒトゲノム多様性研究室
キーワード:
皮膚色
,
一塩基多型(SNP)
,
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
,
縄文人
Keyword:
皮膚色
,
一塩基多型(SNP)
,
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
,
縄文人
pp.265-269
発行日 2023年7月22日
Published Date 2023/7/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28604265
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ホモ・サピエンスは約20万年前にアフリカで誕生し,約7万年前にアフリカからユーラシア大陸へ進出し,地球全域に生息域を拡大した.現代人の皮膚色は多様性に富んでおり,緯度に応じた地域特異性がある.これは,出アフリカ後の約7万年の間に明るい皮膚色が有利となる正の自然選択によって形成されたものと考えられている.近年,東北メディカル・メガバンク計画の肌のタイプ(スキンタイプ)に関連したゲノムワイド関連解析(GWAS)によって,日本人集団で日焼け・白肌を決める7つの独立な一塩基多型(SNP)が同定された.それらのSNPを用いて都道府県別の日本人集団の白肌の程度を推定したところ,平均標高や日最大UVインデックスの累年平均値との相関は観察されなかった.したがって,日本人の皮膚色の地域差は偶然を含め,多数の因子によって形成されていると思われる.また,縄文人ゲノムデータを用いて縄文人の皮膚色を推定したところ,縄文人の皮膚色は現代日本人と同程度の明るさであった可能性が示唆された.
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