Japanese
English
TOPICS 救急・集中治療医学
COVID-19患者の診療と一般救急医療・集中治療の狭間で
In the balance between medical care for COVID-19 patients and general emergency and critical care
中根 正樹
1
Masaki NAKANE
1
1山形大学医学部附属病院救急部高度集中治療センター
pp.233-234
発行日 2024年1月20日
Published Date 2024/1/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28803233
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- Abstract 文献概要
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のヒトからヒトへの感染が拡大し,2020年には世界中においてきわめて死亡率が高い,類まれなる呼吸器感染症パンデミックが発生した.国内でも水際対策をはじめとした感染対策が講じられたが,徐々に感染患者の拡大が確認されると,国民に対して外出を控えさせたりイベント開催を中止させたりといった行動制限など,大規模な感染対策がよびかけられた.地域においては新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者が増加するにつれ,未知のウイルスであるがゆえ,医療機関での対応は難を極め,医療スタッフの負担が増大した.この惨憺たる医療現場の状況は,PCR検査などのウイルス検査が十分なキャパシティを持って定着するまで続いた.また,患者や医療スタッフに院内感染が拡大し,感染者のクラスターが発生すると,感染状況が治まるまでの比較的長期間,その病院は医療体制を縮小せざるをえなくなり,これが外来制限や入院制限へとつながり,救急患者の受け入れができなくなる医療機関が多く発生した.各病院の医療従事者は初期診療における防御態勢として,N95マスク,アイシールド,キャップ,長袖ガウン,グローブの着用が義務付けられ,劣悪な労働環境のなか,多くの医師・看護師は救急診療に従事せざるを得ない状況であった.また,医療従事者をSARS-CoV-2感染から守るための感染防護策は,病院前で救急搬送を担う救急隊においても必要不可欠であり,病院同様かそれ以上の過酷な労働環境,そして精神的な負担となったことは言うまでもない.
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