特別特集 新型コロナウイルス感染症(COVID–19)を識る
Ⅰ COVID–19の一般的事項
宇都宮 大輔
1
,
加藤 英明
2
1横浜市立大学大学院医学研究科 放射線診断学
2横浜市立大学附属病院 感染制御部
pp.1296-1299
発行日 2020年11月26日
Published Date 2020/11/26
DOI https://doi.org/10.18885/CI.0000000469
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コロナウイルスには今回の新型コロナウイルス(SARS–CoV–2)を含め7種類の型が報告されており,そのうち4種類は一般的なかぜの原因の10〜15%を占めるとされている。コロナウイルスには無症候性感染者が30%程度いることがわかっており,SARS–CoV–2においても20~30%は無症候性感染者とされている。また,動物に感染する動物コロナウイルスも存在するが,通常は種を越えて感染することは考えにくいとされていた。しかし,2002年に中国広東省において始まった重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome;SARS)は,コウモリもしくはハクビシンのコロナウイルスがヒトに感染したと考えられているし,中東呼吸器症候群(middle east respiratory syndrome;MERS)もヒトコブラクダからヒトへの感染ルートが報告されている。2019年12月から中国の武漢市で発生したSARS–CoV–2の宿主動物は明確にはなっていない。COVID–19における現在の感染伝播は主にヒト−ヒト感染である。COVID–19は発症前ないし軽症感染者から感染が拡大していると考えられている。無症候の感染者も市中で感染を広げている可能性がある。グローバル化した社会を反映するかのごとく,すでに世界中に広がっており,感染者数は1,400万人を超え,COVID–19による死亡者は約60万人となっている(2020年7月21日時点)。
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