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第5土曜特集 アルツハイマー病――研究と治療の最前線
画像・AI
アルツハイマー病の安静時機能的ネットワーク
Resting state network of Alzheimer’s disease
渡辺 宏久
1
Hirohisa WATANABE
1
1藤田医科大学医学部脳神経内科学
キーワード:
安静時機能的ネットワーク(RSN)
,
アルツハイマー病(AD)
,
デフォルトモードネットワーク(DMN)
,
ハブ
,
加齢
Keyword:
安静時機能的ネットワーク(RSN)
,
アルツハイマー病(AD)
,
デフォルトモードネットワーク(DMN)
,
ハブ
,
加齢
pp.971-977
発行日 2023年12月30日
Published Date 2023/12/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28713971
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安静時機能的ネットワーク(RSN)は,タスクのない状態における機能的MRIで得られるBOLD(blood oxygen level-dependent)信号の緩徐(0.1Hz以下)な時系列変化が有意に同期(コヒーレンス)を示す領野として構成される.アルツハイマー病(AD)では,RSNのなかでもデフォルトモードネットワーク(DMN)が前駆期から発症に至るまで大きく変化する.DMNの機能的結合は領域や時期によって変動がみられ,時に増強を呈しながら後部帯状回/楔前部を中心に減弱することが示されている.さらにアミロイドβの沈着増加は,DMNを含むRSNの結合性の変動を引き起こす.タウは,DMNを中心としたRSNの形状に合わせて拡散し,複数のRSNを結ぶハブをはじめとする機能的結合の強い領域に沈着する性質を有する.神経炎症も機能的結合の強い領域で生じる傾向がある.加齢に伴うハブ領域の過活動とAD発症との関係解明および予防策の確立は,今後の研究課題である.
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