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第1土曜特集 基盤病態としての慢性炎症
アルツハイマー病における免疫系細胞の多様性とその役割
Diversity and role of immune cells in Alzheimer’s disease
田辺 章悟
1
,
平林 峻太朗
1,2
,
村松 里衣子
1
Shogo TANABE
1
,
Shuntaro HIRABAYASHI
1,2
,
Rieko MURAMATSU
1
1国立精神・神経医療研究センター神経研究所神経薬理研究部
2明治薬科大学生薬学研究室
キーワード:
アルツハイマー病(AD)
,
ミクログリア
,
T細胞
Keyword:
アルツハイマー病(AD)
,
ミクログリア
,
T細胞
pp.9-13
発行日 2022年7月2日
Published Date 2022/7/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu282019
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アルツハイマー病(AD)は最も患者数の多い代表的な認知症であり,アミロイドβの蓄積や神経原線維変化を病理学的な特徴とする.近年,脳内の免疫系細胞であるミクログリアや末梢のT細胞がADの病態に関与していることを示す知見が蓄積しているが,その機能は多岐にわたるため各細胞の病態への寄与が議論されている.一方で,近年の1細胞遺伝子発現解析の発展から,ミクログリアやT細胞は局在する部位や病態によって性質が異なることから多様性に富む細胞であることが明らかになってきた.免疫系細胞のサブタイプや病態での役割は疾患の種類,局在,病態の進行度によって大きく異なる.本稿では,ADを対象に免疫系細胞の多様性やその病態での役割について最新の知見を総括する.今後,神経変性疾患の病態が1細胞レベルで解明され,より病態進行に主要な細胞,遺伝子群が発見されることで症状の進行を妨げる新規治療法の開発へとつながっていくことが期待される.
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