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第5土曜特集 アルツハイマー病――研究と治療の最前線
画像・AI
グリアリンパ系(glymphatic system)のMRIを用いた臨床評価
A glymphatic MRI study
佐藤 典子
1
,
太田 深秀
1,2
Noriko SATO
1
,
Miho OTA
1,2
1国立精神・神経医療研究センター病院・放射線診療部
2筑波大学医学医療系臨床医学域精神科
キーワード:
グリアリンパ系(glymphatic system)
,
アルツハイマー型認知症(AD)
,
DTI-ALPS
,
ALPS index
Keyword:
グリアリンパ系(glymphatic system)
,
アルツハイマー型認知症(AD)
,
DTI-ALPS
,
ALPS index
pp.965-970
発行日 2023年12月30日
Published Date 2023/12/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28713965
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MRIの拡散テンソル画像(diffusion tensor image:DTI)から深部白質での血管に沿った周囲の水分子の動きを評価する手法として,DTI-ALPS(diffusion tensor image analysis along the perivascular space)が提案された.DTI-ALPSから導かれるALPS indexは,アルツハイマー型認知症(AD)をはじめとしたさまざまな変性疾患症例において,グリアリンパ系(glymphatic system)の活動に相関するという結果が多数報告されている.AD症例でALPS indexはMMSE(Mini Mental State Examination)と正の相関を示し,ADと軽度認知症(MCI)間でも有意差を認めたとの報告がある.またアミロイドPETやタウPETとの関係を検索すると,脳にアミロイドやタウが集積するほどALPS indexは減少しており,その負の相関を示す部位がADでアミロイドやタウが集積しやすいといわれている部位に一致していた.また特発性正常圧水頭症,パーキンソン病(PD),進行性核上性麻痺(PSP)などのAD以外の疾患でも,ALPS indexは正常群と比べて優位に低下していた.さらにPSPでは,MRIにて皮質と白質の容積とALPS indexと正の相関を認めた部位が,PSPのターゲット部位である前頭葉と脳幹被蓋であり,ALPS indexは病気の進行とも強く相関することが示唆された.ALPS indexはin vivoにおけるglymphatic systemの機能を評価できる有用な手段と思われる.
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