Japanese
English
特集 AKI-to-CKD transition
AKI-to-CKD transitionに対する新たな治療標的としてのepigenetic memoryの可能性
Epigenetic memory as promising therapeutic targets for AKI-to-CKD transition
種本 史明
1
,
南学 正臣
1
,
三村 維真理
1
Fumiaki TANEMOTO
1
,
Masaomi NANGAKU
1
,
Imari MIMURA
1
1東京大学大学院医学系研究科腎臓・内分泌内科
キーワード:
Epigenetic memory
,
ヒストン修飾
,
DNAメチル化
,
クロマチン立体構造変化
,
transcriptional memory
Keyword:
Epigenetic memory
,
ヒストン修飾
,
DNAメチル化
,
クロマチン立体構造変化
,
transcriptional memory
pp.943-947
発行日 2023年9月16日
Published Date 2023/9/16
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28612943
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さまざまな因子が複合的に関与するAKI-to-CKD transitionの病態には,エピゲノム変化の関与についてもこれまで数多く報告されてきた.急性腎障害(AKI)によって生じたエピゲノム変化は,AKIからの回復後も “epigenetic memory” として細胞内に保存され,下流の炎症や線維化に関連した遺伝子発現レベルの変化を維持し続けることで,その後の慢性腎臓病(CKD)への進展に寄与している可能性が示唆されている.さらに,過去に遺伝子発現を誘導する刺激を経験した細胞において複数回にわたり,同様の刺激を受けた際の当該遺伝子の発現を増強させるエピゲノム変化の存在も近年報告されており,このようなepigenetic memoryがAKIを契機に生じ,繰り返すAKIに対する線維化関連遺伝子発現の蓄積効果で腎線維化の進展に寄与している可能性も考えられる.いずれのタイプのepigenetic memoryについても,近年のエピゲノム編集技術の進展も相まって,AKI-to-CKD transitionの新たな治療標的としての可能性を秘めている.
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