腎尿細管細胞の動態からみたAKI-to-CKD transition

AKI-to-CKD transition from the viewpoint of kidney tubular cells

　急性腎障害（AKI）は入院中の死亡リスクを増加させるのみならず，長期的に慢性腎臓病（CKD）や末期腎不全への進展に強く関与することが知られている．その病態はAKI-to-CKD transitionとよばれ，尿細管細胞周期異常，血管内皮障害，炎症の遷延化，微小循環不全などが関与する．近年では，AKIの修復過程で異常をきたした修復不全尿細管細胞がCKDへの進展を促進することが報告されており，さらなる詳細なメカニズムの解明が待たれる．本稿ではAKIの修復過程に中心的な役割を果たしている尿細管細胞の動態からAKI-to-CKD transitionについて解説するとともに，AKI後に増加する慢性脱分化尿細管細胞の関与について概略する．