Japanese
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第1土曜特集 ARDSの治療戦略――個別化診療への道筋
総論・メカニズム
ARDSの疫学
Epidemiology of ARDS
倉橋 清泰
1
Kiyoyasu KURAHASHI
1
1国際医療福祉大学医学部麻酔・集中治療医学講座
キーワード:
侵襲的換気
,
肺保護換気戦略
,
multi-hit theory
,
lung injury prediction score
Keyword:
侵襲的換気
,
肺保護換気戦略
,
multi-hit theory
,
lung injury prediction score
pp.11-16
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2860111
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急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の発生率は,人口10万人あたり軽症で10.6~78.9人,中等症以上では5.0~58.7人と,報告によりばらつきがある.これはARDSが単一疾患でないことにも起因すると考えられる.ARDS発症の危険因子には患者要因として年齢,アルコール中毒患者,喫煙,大気汚染,低蛋白血症があげられている.一方,医療に関連する要因として肺保護換気の有用性が指摘されているが,実際にはそれが守られていないケースが多いことも明らかとなっている.その他,不適切な抗菌薬の使用,誤嚥,輸血や輸液の量や供血者の要素などが関連し,これらがsecond hitとなりうる.ARDSの死亡率はその重症度に依存するが,年齢,入院時に把握される併存疾患や生理学的状態に強く影響されることがわかっている.死亡率以外にも重要なのが集中治療室(ICU)退出後の状況であり,長期にわたり身体的・精神的障害を持つ集中治療後症候群(PICS)患者が多いことも着目すべきである.
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