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日本麻酔科学会第72回学術集会講演特集号 招請講演
ARDSに対する実験生物学的研究の展開と今後の展望―個別化医療を目指した臨床病態と連携した研究の重要性―
Past Achievements and Future Directions of Experimental Biological Research on ARDS:Advancing Basic Research Linked to Clinical Pathophysiology Towards Personalized Medicine
東條 健太郎
1
Kentaro TOJO
1
1横浜市立大学医学部生体制御・麻酔科学
キーワード:
ARDS
,
基礎研究
,
個別化医療
Keyword:
ARDS
,
基礎研究
,
個別化医療
pp.S17-S22
発行日 2025年11月20日
Published Date 2025/11/20
DOI https://doi.org/10.18916/masui.2025130004
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はじめに
急性呼吸促迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)は,依然として高い死亡率を示す疾患であり,集中治療領域における最重要課題の一つである。近年,ARDSの治療成績は人工呼吸管理法の進歩などにより一定の改善が見られるが,有効な薬物療法の確立には至っておらず,依然として支持療法が中心となっている。ARDSの病態は,過剰な免疫応答や凝固系活性化,肺胞上皮・血管内皮傷害で特徴づけられるが,その背景では複雑な機序が絡み合っており,病態に即した治療法の確立には,臨床と基礎をつなぐトランスレーショナルな研究,すなわち実験生物学的研究が不可欠である。
ARDSの実験生物学的研究は基礎医学研究者のみで完結するものではなく,臨床現場の現実や課題をよく知る臨床家の視点と発想が加わることによって,初めて臨床応用可能な治療法の開発が可能となる。本論文では,ARDSに対する実験生物学的研究の現状と課題,そして今後の展望について概説し,麻酔科医を含むより多くの臨床家がこの分野に参画する契機となることを願う。

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