Japanese
English
綜説
ARDSの細胞生物学
Adult Respiratory Distress Syndrome : A Review of Cellular Mechanisms
石坂 彰敏
1
Akitoshi Ishizaka
1
1慶応義塾大学医学部内科学教室
1Department of Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.104-114
発行日 1991年2月15日
Published Date 1991/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900216
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はじめに
ARDS(Adult Respiratory Distress Syndrome:成人呼吸窮迫症候群)の名称が用いられるようになっておおよそ四半世紀が経過したが1),その間に病態生理,早期診断や治療に関する研究が精力的になされてきた.頭初は本症候群の急激な経過や高い致死率2-4)が多くの臨床家の研究意欲を駆り立てたものと思われるが,近年肺の損傷という観点から多くの生化学的,細胞生物学的な研究がなされ,本症候群の病因と他の肺疾患との病因上の関連も示唆されている.一例をあげると,閉塞性肺疾患として分類される肺気腫の病因に関わる蛋白融解酵素が拘束性肺疾患であるARDSの病因において重要な役割を果たしていることが知られている5-8).周知のようにARDSに関しての優れた総説,解説が数多くあるが9-17),本稿ではまずARDSの発症機序に関与する攻撃因子としての液性成分について簡単にふれる.次に細胞成分に焦点をあて最近の話題を中心に概説する.最後にARDS研究の現状と今後の展望について私見を述べる.
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