Japanese
English
特集 生体模倣システム(MPS)の発展と創薬応用
薬剤性肝障害回避に向けた肝臓生体模倣システムへの期待
Development of liver microphysiological systems to avoid drug-induced liver injury
荒木 徹朗
1
Tetsuro ARAKI
1
1協和キリン株式会社研究開発本部トランスレーショナルリサーチユニット安全性研究所
キーワード:
薬剤性肝障害(DILI)
,
生体模倣システム(MPS)
,
医薬品研究開発
,
新規モダリティ
Keyword:
薬剤性肝障害(DILI)
,
生体模倣システム(MPS)
,
医薬品研究開発
,
新規モダリティ
pp.799-803
発行日 2023年5月27日
Published Date 2023/5/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28509799
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
薬剤性肝障害(DILI)は,安全性を理由とする医薬品研究開発の中止や市場撤退の原因になることが多く,その臨床予測系の開発はわれわれ製薬企業にとって長年の研究課題である.ここ数年の間に,生体模倣システム(MPS)を用いた肝毒性評価モデルが複数の欧米MPSベンチャーから相次いで発表されており,iPS細胞などの技術と組み合わせることで,肝MPSはこれまで非臨床での再現が難しかった,長期曝露時の肝障害や肝障害発症に至る複雑な作用機序を評価できると期待されている.また近年,低分子化合物以外の医薬品(新規モダリティ)の開発が増加しているが,これらは動物実験結果から臨床への外挿がより難しいことが多く,ヒト細胞を用いた肝MPSが非臨床安全性評価に有効であると考えられる.今後,MPS開発企業や大学・アカデミア,製薬企業,医薬品開発業務受託機関(CRO),規制当局が協力し,MPSの検証,普及,行政受容を積極的に進めていくことが望まれる.
Copyright © 2023 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.