Japanese
English
第5土曜特集 mRNAワクチンやゲノム編集で注目が集まる遺伝子治療
遺伝子治療技術を用いた疾患治療
末梢閉塞性動脈疾患に対する遺伝子治療の最前線
Therapeutic angiogenesis against peripheral artery disease
眞田 文博
1
,
森下 竜一
1
Fumihiro SANADA
1
,
Ryuichi MORISHITA
1
1大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座
キーワード:
血管新生
,
肝細胞増殖因子(HGF)
,
遺伝子治療
Keyword:
血管新生
,
肝細胞増殖因子(HGF)
,
遺伝子治療
pp.425-428
発行日 2023年4月29日
Published Date 2023/4/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28505425
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
末梢動脈性疾患(PAD)は閉塞性動脈硬化症(ASO)がその大部分(95%程度)を占め,ほかにはバージャー病などが知られている.特にASOは動脈硬化性病変による血管狭窄が主な病因であるため,罹患率は日本よりも欧米で高く,100万人あたり年間500~1,000人が新規にPADを発症する.また加齢関連疾患であり,高齢者に多い特徴がある.動脈硬化性病変を主因とするため,脳心血管死亡率は健常人に比較して3~6倍高く,約50%の患者はPAD診断時にすでに心血管疾患(CVD)を合併している.このような理由から日本循環器学会(JCS),米国心臓病学会財団(ACCF)/米国心臓協会(AHA)のガイドラインでは,PAD患者において徹底したCVDの二次予防を勧告している.これまでにRAS系阻害薬,抗血小板剤など多くの薬剤が開発され,PAD患者におけるCVDの予後は改善しているが,残念ながらPAD患者の下肢血流を改善する薬はいまのところ存在しない.侵襲的治療として外科的治療や血管内治療が行われるが,解剖学的な理由などから血管形成術の適応とならない多くの患者が存在する.遺伝子治療はこのような治療オプションのない患者への新たな治療戦略として研究され,“肝細胞増殖因子(HGF)” 遺伝子をプラスミドDNAに組み込んだ国内初の遺伝子治療薬 “コラテジェン®” が2019年に上市された.本稿では,これまで行われた遺伝子治療を用いた臨床研究結果ならびにHGFの特徴について報告する.
Copyright © 2023 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.