Japanese
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第5土曜特集 mRNAワクチンやゲノム編集で注目が集まる遺伝子治療
遺伝子治療技術を用いた疾患治療
表皮水疱症に対する遺伝子治療の歴史と最近の動向
History and recent progress in gene therapy for epidermolysis bullosa
菊池 康
1
,
玉井 克人
2
Yasushi KIKUCHI
1
,
Katsuto TAMAI
2
1大阪大学大学院医学系研究科幹細胞遺伝子治療学共同研究講座
2同再生誘導医学寄附講座
キーワード:
表皮水疱症(EB)
,
表皮幹細胞
,
ウイルスベクター
,
ゲノム編集
Keyword:
表皮水疱症(EB)
,
表皮幹細胞
,
ウイルスベクター
,
ゲノム編集
pp.429-434
発行日 2023年4月29日
Published Date 2023/4/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28505429
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表皮水疱症(EB)は,皮膚基底膜を構成する分子の異常に基づく皮膚脆弱性を特徴とする遺伝性疾患であり,生下時よりわずかな外力によって容易に水疱を形成する.本症では患者のQOLが著しく低下することに加え,重症接合部型では生後1年以内に死亡することや,重症潜性(劣性)栄養障害型では若年から発症する有棘細胞癌により生命予後が悪いことから,根治的治療法として遺伝子治療の開発が精力的に行われてきた.近年,EBに対しても複数の遺伝子治療の治験が行われ,良好な結果の報告が相次いでいる.さらにCRISPR/Cas9などによるゲノム編集技術の発見により,これまでの遺伝子を付加する遺伝子治療から,原因となる遺伝子変異そのものを修復する究極の遺伝子治療の実現可能性が高まってきた.多様化するモダリティを取り込みつつ疾患の病態を理解したうえで治療法の開発を行うことで,将来的に患者の病型,遺伝子変異,重症度などに応じて最適な治療法を選択できるようになることが期待される.
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