Japanese
English
第5土曜特集 mRNAワクチンやゲノム編集で注目が集まる遺伝子治療
遺伝子導入技術
RNA創薬を実現する脂質ナノ粒子のデザイン
-――細胞内動態制御から体内動態制御まで
Design of lipid nanoparticles for RNA drug discovery
秋田 英万
1
Hidetaka AKITA
1
1東北大学大学院薬学系研究科薬物送達学分野
キーワード:
DDS(drug delivery system)
,
ワクチン
,
RNA創薬
,
脂質ナノ粒子(LNP)
,
メッセージRNA(mRNA)
Keyword:
DDS(drug delivery system)
,
ワクチン
,
RNA創薬
,
脂質ナノ粒子(LNP)
,
メッセージRNA(mRNA)
pp.348-354
発行日 2023年4月29日
Published Date 2023/4/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28505348
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するワクチンが早期に開発されたことを皮切りに,さまざまな抗原や遺伝子をコードしたメッセンジャーRNA(mRNA)を医療に用いるRNA創薬研究が国内外で加速している.これらの分子を創薬に生かすためには,mRNAを標的とする細胞の細胞質まで届けるためのdrug delivery system(DDS)が必要である.従来から遺伝子治療に用いられてきたDNAにおいては,本分子を転写の場である核内まで送達する必要があった.一方,mRNAは細胞膜(エンドソーム膜)を越え細胞質にまで届けば翻訳され,タンパク質を発現させることができる.このような生体膜を突破するための戦略として,第三級アミンを頭部に有する脂質群が開発されている.本稿では,筆者らが開発している国産の脂質様材料についても一部紹介しながら,これらの脂質ナノ粒子(LNP)の設計デザインを概説する.また,血中投与した際にLNPは主に肝臓に取り込まれて発現するが,最近では肝臓以外の臓器・細胞の標的化技術について注目されている.これら標的化の動向に関する最近の動向についても紹介する.
Copyright © 2023 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.