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第1土曜特集 ワクチン設計のサイエンス
各論
【Non-viral vector】
RNA創薬を支える縁の下の力持ち
-――pH感受性脂質
pH-dependent ionizable lipid, as a platform technology for RNA-based medicine
秋田 英万
1
Hidetaka AKITA
1
1千葉大学大学院薬学研究院,東北大学大学院薬学系研究科
キーワード:
Drug delivery system(DDS)
,
ワクチン
,
RNA
,
細胞内環境
,
脂質ナノ粒子(LNP)
Keyword:
Drug delivery system(DDS)
,
ワクチン
,
RNA
,
細胞内環境
,
脂質ナノ粒子(LNP)
pp.993-998
発行日 2021年12月4日
Published Date 2021/12/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27910993
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近年,RNA分子を基盤とした薬剤として,2018年に “オンパットロ®点滴静注(Alnylam Japan社)”,2020年には,新型コロナウイルスに対するRNAワクチン “コミナティ®筋注”(ファイザー社),“COVID-19ワクチンモデルナ筋注®”(武田/モデルナ社)が相次いで承認されている.これらの製剤における “くすり” の本体であるshort interference RNA(siRNA)や,メッセンジャーRNA(mRNA)が生体内で機能を発揮するためには,標的となる細胞の細胞質まで送達されることが必要である.上記の薬剤においては,脂質ナノ粒子(LNP)が本目的のために利用されている.これらLNPは,親水基に第三級アミンを有する脂質などから形成されており,生理的pH環境では中性電荷を有する.一方,エンドソーム内の低pH環境下においてはプロトン化を受け,正に帯電しエンドソーム膜と相互作用することで本膜を破壊(脱出)し,搭載核酸を細胞質まで送達する.本稿では,これらのLNPの設計デザインを概説するとともに,筆者らが開発している国産の脂質様材料についても紹介する.
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