Japanese
English
第5土曜特集 mRNAワクチンやゲノム編集で注目が集まる遺伝子治療
遺伝子導入技術
mRNA医薬とmRNAワクチン
mRNA medicine and mRNA vaccines
中西 秀之
1
,
位髙 啓史
1,2
Hideyuki NAKANISHI
1
,
Keiji ITAKA
1,2
1東京医科歯科大学生体材料工学研究所生体材料機能医学分野
2大阪大学感染症総合教育研究拠点
キーワード:
メッセンジャーRNA(mRNA)
,
mRNA医薬
,
mRNAワクチン
,
翻訳
Keyword:
メッセンジャーRNA(mRNA)
,
mRNA医薬
,
mRNAワクチン
,
翻訳
pp.340-347
発行日 2023年4月29日
Published Date 2023/4/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28505340
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遺伝子発現においては,まずDNAからメッセンジャーRNA(mRNA)へと情報が転写された後,mRNA上の情報がタンパク質へと翻訳される.細胞外で人工的に作製したmRNAであっても細胞内へ導入すれば同様にタンパク質へと翻訳されるため,疾患に対する治療または予防効果を持つタンパク質をコードするmRNAを作製して投与すれば,それらのタンパク質を体内の細胞に産生させることができる.mRNA医薬ならびにmRNAワクチンとは,こうした治療・予防用タンパク質をコードするmRNAのことである.mRNA医薬・ワクチンは,任意のタンパク質を体内の細胞に作らせることができるという点ではプラスミドなどのDNAと同じであるが,核内に送達する必要がなく,タンパク質の発現は迅速だが発現期間は短いといった独自の特徴も有する.現在,感染症やがんに対するワクチンから遺伝性疾患や血管障害に対する治療までmRNAにはさまざまな医療応用が考えられているが,求められる効果を上げるためには,mRNA医薬・ワクチンの特徴を理解し,その利点をいかす設計を行うことが重要である.
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