特集 ナノテクノロジーとバイオセンサ
各論
Ⅰ. ナノ粒子関連
6. 金ナノ粒子を用いた遺伝子診断法
佐藤 保信
1
,
細川 和生
1
,
前田 瑞夫
1
Yasunobu SATO
1
,
Kazuo HOSOKAWA
1
,
Mizuo MAEDA
1
1理化学研究所 前田バイオ工学研究室
キーワード:
SNP診断
,
金ナノ粒子
,
表面プラズモン共鳴
Keyword:
SNP診断
,
金ナノ粒子
,
表面プラズモン共鳴
pp.1397-1408
発行日 2006年11月30日
Published Date 2006/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100776
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はじめに
ヒトゲノムの塩基配列の解読修了後,ゲノムの機能解析が進み,疾患の発症や薬剤の反応性に遺伝子が寄与していることが,少しずつ明らかにされてきた.そして,ゲノム情報をいかに診断や治療に結びつけていくかに注目が集まっている.現在,個人個人に合わせた医療を提供することを目的に,医療現場では簡便でわかりやすい遺伝子診断法が求められている.遺伝子診断を行い,病気,薬の副作用などを事前に予測することができるようになれば患者の負担を軽減することができる.しかし,誰でもが診断を受けられるような安価で迅速な診断デバイスはまだない.簡易遺伝子診断における諸問題の解決は,ナノテクノロジーを支えている材料の1つであるナノ粒子が可能にするかもしれない.生体成分の大きさを考えてみても,ナノサイズの材料は興味深い.特に金属ナノ粒子は,ユニークな光学特性を持つため,光学研究の材料としての利用をはじめ1~3),バイオ分析のためのツール4~6)としても利用が試みられている.本稿では,高感度検出が強く望まれているバイオセンシングにおいて,金ナノ粒子がDNA検出にどのように利用されているかを解説する.小さな変化をマクロな応答に変換することができる,金ナノ粒子を用いた遺伝子診断に関連した研究に焦点を当て,筆者らのグループの試みについて紹介したい.
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