特集 COVID-19パンデミック 振り返りと将来への備え
【コラム】
❷mRNAワクチンの現在と未来
平岡 陽花
1
,
阿部 洋
1
1名古屋大学大学院 理学研究科 理学専攻化学
キーワード:
mRNAワクチン
,
情報伝達分子
,
免疫活性化
,
遺伝性疾患の治療
,
再生医療
Keyword:
mRNAワクチン
,
情報伝達分子
,
免疫活性化
,
遺伝性疾患の治療
,
再生医療
pp.84-86
発行日 2023年1月15日
Published Date 2023/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204124
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mRNAワクチンは、世界的な大流行を引き起こしたCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)に対する予防用ワクチンとして2020年に初めて承認され、一躍脚光を浴びた。この機に初めてmRNAワクチンの存在を知った人も多いだろう。
mRNAワクチンとは、分子の設計図であるmRNAを「情報」として生体内に導入し、その情報に基づいて病原体の構成蛋白質を生体内でつくらせることで、免疫獲得を促す新しい医薬品だ。その研究の歴史は古く、合成mRNAの導入による蛋白質の産生誘導が初めて示されたのは1990年まで遡る1)。それから30年の時を経て、COVID-19の大流行という緊急事態に際してこの研究が急速に進み、わずか1年という脅威的なスピードで承認されることになった。このような迅速な開発が、なぜ可能だったのか? mRNAワクチンの特徴を、現在の開発状況とともに見ていこう。
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