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第5土曜特集 mRNAワクチンやゲノム編集で注目が集まる遺伝子治療
遺伝子導入技術
レトロウイルス,レンチウイルスベクター
-――特徴から臨床応用まで
Retroviral and lentiviral vector
――Mediated gene transfer
内山 徹
1
Toru UCHIYAMA
1
1国立成育医療研究センター成育遺伝研究部疾患遺伝子構造研究室
キーワード:
レトロウイル(RV)スベクター
,
レンチウイルス(LV)ベクター
,
造血幹細胞遺伝子治療
,
挿入変異
Keyword:
レトロウイル(RV)スベクター
,
レンチウイルス(LV)ベクター
,
造血幹細胞遺伝子治療
,
挿入変異
pp.321-327
発行日 2023年4月29日
Published Date 2023/4/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28505321
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レトロウイルス(RV)ベクター,レンチウイルス(LV)ベクターは,染色体への挿入によって細胞分裂後も導入遺伝子が染色体上に保たれることから,造血幹細胞遺伝子治療やキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法において,主要な遺伝子導入技術として用いられている.その一方で,実際の臨床応用を通して,挿入変異という本質的なリスクも明らかとなっている.RVベクターによる遺伝子治療では,LTR(long terminal repeat)に存在するエンハンサーがベクター挿入部位周辺のがん遺伝子を交差活性化し,白血病を引き起こすことが判明した.その後,LVベクターではU3領域の削除による自己不活化によって交差活性化を抑えることが可能となったが,遺伝子内に挿入されやすいという性質から,aberrant splicingによる遺伝子の活性化や不活化が報告されている.このように臨床応用が拡大することで,有効性のほかにいままでわからなかった課題も明らかとなり,今後のさらなる開発・改良が期待される.
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