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第1土曜特集 ゲノム編集医療――最先端ツールからモデル,創薬,遺伝子治療へ
ゲノム編集治療
染色体挿入型ウイルスベクターによる発がんとその機序
Insertional oncogenesis by chromosomal integration of viral vectors
内山 徹
1
Toru UCHIYAMA
1
1国立成育医療研究センター成育遺伝研究部疾患遺伝子構造研究室
キーワード:
レトロウイルス(RV)ベクター
,
レンチウイルス(LV)ベクター
,
造血幹細胞遺伝子治療
,
染色体挿入
Keyword:
レトロウイルス(RV)ベクター
,
レンチウイルス(LV)ベクター
,
造血幹細胞遺伝子治療
,
染色体挿入
pp.432-437
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292050432
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染色体挿入型ウイルスベクターであるレトロウイルス(RV)・レンチウイルス(LV)ベクターは,長期的な遺伝子発現が可能であることから,基礎研究から遺伝子治療まで広く有効性が認められている.一方で,ウイルスベクターの染色体への挿入は,挿入部位周辺の遺伝子の活性化や構造の変化などを通じた発がんを引き起こすことがわかっており,これまでにも遺伝性疾患に対する造血幹細胞遺伝子治療や難治性腫瘍に対するキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法において,挿入変異に起因する発がんが報告されている.国内では,筆者らが実施したX連鎖慢性肉芽腫症(X-CGD)へのRVベクターによる遺伝子治療において,治療後の患者に骨髄異形成症候群(MDS)の発症が認められたが,MECOM遺伝子へのベクター挿入に加えて,複数の付加的な遺伝子変化が同定され,遺伝子治療後の患者における発がんの複雑な機序が明らかになった.
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