Japanese
English
TOPICS 生化学・分子生物学
微小重力環境における骨格筋可塑性の変化に対するNrf2の役割
The role of NRF2 for alteration of skeletal muscle plasticity under microgravity
林 卓杜
1
,
工藤 崇
1
,
高橋 智
1
Takuto HAYASHI
1
,
Takashi KUDO
1
,
Satoru TAKAHASHI
1
1筑波大学医学医療系解剖学発生学研究室
pp.956-957
発行日 2023年3月25日
Published Date 2023/3/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28412956
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骨格筋におけるNrf2の役割
老化医学において,生活習慣病や悪性腫瘍などの加齢疾患には酸化ストレスが要因のひとつであると考えられており,骨格筋においてはサルコペニア(加齢性筋減弱症)との関連が注目されている.骨格筋では運動や老化に伴い酸化ストレスが誘導され,筋萎縮や筋線維の質的変化を引き起こす.酸化ストレスと骨格筋可塑性の関係を明らかにすることは,骨格筋の恒常性を維持するメカニズムを理解し,サルコペニアや寝たきりに伴う骨格筋萎縮への治療法確立に重要である.転写因子nuclear factor E2-related factor 2(Nrf2)は,酸化ストレスに対して,生体防御遺伝子の抗酸化マスターレギュレーターとして働き,生体内の恒常性の維持を担っている1).骨格筋を構成する筋線維は性質からタイプ分けされ,酸化的リン酸化によりエネルギー産生を行う遅筋線維(Type Ⅰ線維)と解糖系によりエネルギー産生を行う速筋線維(Type Ⅱ線維)に大別され,各線維の割合から骨格筋は遅筋,速筋に分類される.さらにType Ⅱ線維は,マウスではⅡa,Ⅱx,Ⅱb線維,ヒトではⅡaとⅡx線維に細分される.Nrf2タンパク質は,速筋と比較して遅筋で多く発現していることから,筋線維タイプとの関連性も示唆されている2).
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