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第1土曜特集 宇宙生命科学の進歩と医学応用への展望
宇宙環境に関連した各研究対象と最新の知見
宇宙滞在によるマウス骨格筋の可塑的変化に着目した新規遺伝子の発見
Identification of a novel gene focusing on plastic changes in mouse skeletal muscle by space flight
林 卓杜
1,2
,
工藤 崇
2
,
高橋 智
2
Takuto HAYASHI
1,2
,
Takashi KUDO
2
,
Satoru TAKAHASHI
2
1筑波大学大学院医学学位プログラム
2同医学医療系解剖学発生学研究室
キーワード:
微小重力
,
Nrf2
,
ヒラメ筋
,
筋萎縮
,
筋線維タイプ
Keyword:
微小重力
,
Nrf2
,
ヒラメ筋
,
筋萎縮
,
筋線維タイプ
pp.562-568
発行日 2021年11月6日
Published Date 2021/11/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27906562
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微小重力環境が骨格筋に及ぼす影響は,これまでに宇宙飛行士,ラットやマウスなど,さまざまな動物種を利用した宇宙実験により解析されてきた.しかし宇宙環境には微小重力以外にも,閉鎖環境に対する精神的ストレスや宇宙放射線などの影響があり,微小重力環境が骨格筋に与える影響のみを解析することは困難であった.この問題点を克服するため,宇宙環境において人工重力1gを発生させることが可能な遠心機付き小動物飼育装置が国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟に設置された.2016年にはこの飼育装置を用いてマウスを飼育し,微小重力環境下で人工重力群と微小重力群を比較し,純粋に重力が骨格筋に与える影響を解析した.2018年には,酸化ストレスと重力変化の関連性を明らかにするために,Nrf2-ノックアウトマウスを用いた,日本初の遺伝子改変マウスによる宇宙実験を実施した.この2回の宇宙実験から,微小重力環境では筋萎縮と筋線維タイプの移行が誘導され,人工重力1gでそれらの変化が抑制されること,Nrf2は筋線維タイプの移行のみを抑制することが明らかになった.
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