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第5土曜特集 循環器病学の未来──基本計画から考える循環器病学のグランドデザイン
循環器病におけるゲノム・オミックス研究の将来展望
遺伝的リスクを “見える化” するポリジェニックリスクスコア(PRS)とは何か
What is the polygenic risk score(PRS)to make a genetic risk visible?
伊藤 薫
1
Kaoru ITO
1
1理化学研究所生命医科学研究センター循環器ゲノミクス・インフォマティクス研究チーム
キーワード:
遺伝的リスク
,
ポリジェニックリスクスコア(PRS)
,
精密医療
,
冠動脈疾患
,
心房細動
Keyword:
遺伝的リスク
,
ポリジェニックリスクスコア(PRS)
,
精密医療
,
冠動脈疾患
,
心房細動
pp.1241-1247
発行日 2022年12月31日
Published Date 2022/12/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu283141241
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近年,ヒトゲノム解析の著しい進歩により,筆者らが通常の外来で診察するような,いわゆる “ありふれた” 循環器疾患でも,その人の持つ遺伝情報から疾患リスクをスコア化することが可能となった.つまり,今まで観察しえなかったものを “見える化” することに成功した.そのスコア化の方法のひとつとして,全ゲノム領域にわたって包括的に遺伝的リスクをスコア化したポリジェニックリスクスコア(PRS)がある.実際,冠動脈疾患や心房細動などは疾患発症要因の50%以上を遺伝要因が占めており,遺伝情報から得られるリスクスコアを有効に活用することにより,臨床の精度は向上することが期待される.一方,比較的新しい概念であるために解釈の正確性や使用の適用,臨床でのエビデンスなどが不足しており,倫理的な問題も含めて日常診療に実装するためには,またいくつかの課題を解決しなければならない.世界ではこのような課題の解決のために多くの政府機関や研究者が精力的な活動を続けており,遠くない未来にPRSが臨床のdecision makingの有用なツールとなる日がくると考える.
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