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第5土曜特集 心不全診療の未来戦略――ゲノム,AI,多臓器連関が拓く新時代
急速に進歩し続けるゲノム・オミクス研究のcutting edge
心不全の “なりやすさ” をゲノムから読む
-――GWASが切り拓く個別化予防医療
Genomic insights into heart failure risk
――How GWAS is shaping personalized prevention
伊藤 薫
1,2
Kaoru ITO
1,2
1千葉大学大学院医学研究院先端データ医科学
2理化学研究所生命医科学研究センター循環器ゲノミクス・インフォマティクス研究チーム
キーワード:
心不全
,
HFpEF(左室駆出率が保たれた心不全)
,
HFrEF(左室駆出率が低下した心不全)
,
精密医療
Keyword:
心不全
,
HFpEF(左室駆出率が保たれた心不全)
,
HFrEF(左室駆出率が低下した心不全)
,
精密医療
pp.729-734
発行日 2025年11月29日
Published Date 2025/11/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295090729
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ゲノム解析は,世界的な協力体制の下,大規模なコホートと最先端テクノロジーの応用により大きく発展し続けている.従来の欧米人を中心とした解析だけでなく,日本人や多くの民族を対象にした国際共同研究で,心不全に関連する遺伝子座が次々と同定され,ゲノム情報を用いた疾患発症リスクの評価も現実的となった.また,臨床で問題となっているHFpEF(左室駆出率が保たれた心不全)の分子遺伝学的な基盤も,ゲノム研究により詳細が明らかになりつつある.こうしたゲノム解析の知見は,将来の疾患発症予測やバイオマーカー創出,個別化診療体制構築への道筋を明確に示している.一方,成果の臨床応用にはさらなるエビデンスが求められている.複雑性と多因性を持つ心不全の精密医療実現に向け,ゲノム解析は不可欠な基盤として進歩を続けている.

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